これまでの日本イヌワシ研究会等の調査によって、日本に生息するイヌワシの減少の要因は次のように考えられています。
- 餌不足
- ノウサギ・ヤマドリなどの減少
- 生息環境の悪化
- ダムや高圧送電線の鉄塔、大規模林道などの奥山開発
- スキー場を始めとする大型リゾート開発
- 無作為な拡大造林の推進
- 生息地近くのスキー場の騒音
- 資源調査や観光目的、それに山岳救助ヘリによる騒音
- 狩場環境の減少
- 落葉しない単一樹種による人工林の増加
- 薪炭林や茅葺き用の茅場の減少
- 登山など主稜線部での人間活動の増加
戦後の拡大造林事業で、日本列島は低山帯を中心に杉や檜の人工林で覆われました。草地や伐採地のような開けた空間を好んで狩りをするイヌワシにとって、冬季でも落葉しない針葉樹に山野を覆われることは、狩りの成功率の低下の原因になっています。
また、コストの安い輸入材に押されて国内の林業が衰退、併せてエネルギー事情の変化に伴い薪の需要が減ったことや、茅葺きが必要とされなくなったことなどが影響し、増えすぎた人工林の更新や手入れが行われなくなりました。これらはイヌワシの狩場を奪うことに直結し、彼らの餌不足に陥る最大の要因となっています。