全国合同調査

イヌワシ研究会が全国組織として発足したきっかけは、1980年に三重県鈴鹿山地で行われた合同調査でした。

現在のように通信手段も発達していなかった時代に、全国に散らばるイヌワシのアマチュア研究者が一堂に会し、「イヌワシの活動する朝から夕方まで100%目撃追跡すること」を目標に、多点による終日調査を敢行。無線機によるリアルタイム通信にて、次々とイヌワシの行動がリレー中継されていくこの時の調査は、当時としては画期的であり、世界初の試みでもありました。そしてこれ以降、全国合同調査はイヌワシ研究会の重要な事業の一つとなっています。

1991〜1993年に行われた秋田県駒ヶ岳山麓での合同調査は、日本自然保護協会と共同で3年の長期調査を行い、科学的データを元に周辺で予定されていたリゾート開発計画を見直しに追い込みました。また、1994年に北海道大雪山周辺地域で行われた合同調査では、北海道では初の繁殖個体群の発見に至っています。そして近年は特に未解明地域での調査を中心に行っています。

合同調査には、観察者の少ない地域への支援や、新入会員(イヌワシ初心者)への観察技術の伝達、未解明地域での調査活動、それに普段は全国に散らばって会う機会の少ない、会員間の交流の場の意味合いもあります。

昼間は風雨・風雪に耐えながら終日ワシを探し続け、夜には各地から持ち寄られた銘酒・銘品を肴に、時に先輩たちの経験談に心奮わせ、時にそのあり方を巡って意見を戦わし、夜が更けるまでイヌワシ談義に花を咲かせる、そんな光景も脈々と先代たちから受け継がれて現在に至ります。

参考:過去の合同調査開催地(沿革と主な実績を参照)