「立山黒部」世界ブランド化推進に対する意見書

当研究会では、現在、富山県が「立山黒部」世界ブランド化推進会議において審議中のプ ロジェクトのうち、「立山~弥陀ヶ原ロープウェイ」ならびに「アルペンルートの早期開業・ 冬季営業」が、当地を行動圏に持つイヌワシつがいの生息に大きな影響を及ぼすものと考えています。

イヌワシは、生態系の頂点に位置する生物です。イヌワシの安定した生息や繁殖が、自然環境の豊かさを示します。良好な環境に生息するイヌワシは、何十年もその地で生息し、 毎年繁殖します。しかし、立山地域に生息するイヌワシつがいは、この 20 年間で 2 回しか繁殖成功できていません。そればかりか、個体が何度も入れ替わり、一時は 3 年もの間、 1 羽だけの生息になっていました。今、富山県が観光資源として売り出している立山地域の環境は、既に一部の希少野生動植物にとって生息しづらい環境になり始めています。

「立山黒部」の観光は、唯一無二の自然環境があって成り立つものであり、自然環境を減衰させることは観光資源を減衰させることに直結します。今、目を向けるべきは新たな開発よりも観光資源となる自然環境と野生動植物を本来の姿に戻すことではないでしょうか。

当研究会は、富山県知事に対し、「立山~弥陀ヶ原ロープ ウェイ」および「アルペンルートの早期開業・冬季営業」、両プロジェクトの中止を 求めるとともに、立山地域の観光のあり方の再考を求めます。

提出日 2019年1月29日
提出先 富山県知事

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